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by nn_77
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M&A

今年の5月に施行された会社法に盛り込まれた三角合併、これが来年5月にいよいよ施行される運びとなり、新聞などでも、財界からの強い警戒感が取り上げられています。

企業合併というと、新聞の見出し、という感じで、あまり身近には感じられないかもしれませんが、

・お父さん、勤め先の会社やお得意様の会社が合併されたりするような噂はありませんか?
・お母さん、ヘソクリ財テクの株、損して塩漬けにしたまま見てない間に、合併されちゃったのに、交換手続きせずにほったらかしになってませんか?
・あれ、また、銀行が勝手に合併して支店なくなっちゃったよーーー!
・阪急ホールディングスと阪神が経営統合、って、百貨店・デパ地下はどうなるの?(←阪神ブランドを残す方向で進んでいるらしいです)
・チャルメラとカップヌードルのコラボは実現するのか? チャルヌードル?

・・・最近では、少子化の流れを受けて、大学まで統合し始めました。私の母校の大学も、来年には、阪大と統合(被吸収?)されるようです。これで、私も阪大卒! にはなりませんね(笑)

こうしてみると、企業や組織の合併・統合というのは、実は身近な話題でもあるようです。

もちろん、CPA試験でもふんだんにでてきた分野でした。
CPAの受験勉強の記憶をたどると・・・

*** (( 回想部分 )) *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***

FAR・・・合併会計、連結会計。Minority interestやGood will・・・
BEC・・・株式会社の合併の手続き、ルール。

AUDやREGで具体的に問題に出会った記憶はありません(忘れただけ?)。
でも、AUD実務では、合併プロジェクトが進む中で、デューデリジェンスにまつわるレビューやコンピレーションもあるのではないでしょうか?(←想像)
REG実務としても、特に債権者としては合併に伴って、担保関係はどうなるのか(Security interest priority)など、注意が必要です(←経験)


本棚にある、BECのワイリーを見てみました。

A parent corporation owned more than 90% of each class of stock of the outstanding stock issued by a subsidiary corporation and decided to merge that subsidiary into itself. Under the Revised Model Business Corporation Act, which of the following actions must be taken?

a. The subsidiary corporation’s board of directors mus pass a merger resolution.
b. The subsidiary corporation’s dissenting stockholders must be given an appraisal remedy.
c. The paretent corporation’s stockholders must approve the marger.
d. The parent corporation’s dissenting stockholders must be given appraisal remedy.

Wiley 2005 Module 38 Business structure 91より

答えは( b )のはず・・・お、正解! まだまだ覚えてるゾ。

90%も支配している子会社を吸収するのに必要な手続きは、存続親会社の取締役会の承認と、合併に反対する子会社株主へのremedyだけでした。90%以上の大株主なので、すでに実態は合併しているようなもの。だから、さらに、法的枠組みを一つにするだけのことであれば、簡便法として、本当に最低限の手続きだけを必要とする、というわけですね。

本来、合併に必要な手順は、下記でした。

―――吸収合併と新設合併の要件――――――――――――――――――――――
a) Boards of both corporations must prepare and submit plan to shareholders of both companies.
b) Approval of board of directors of both companies
c) Shareholders of both corporations must be given copy of summary of marger plan
d) Majority vote of shareholders of each corporation
e) Surviving corporation gets all assets and liabilities of merging corporations
f) Dissatisfied shareholders of subsidiary may dissent and assert appraisal rights, thereby receiving the FMV of their stock. To receive this right, shareholder must
・File objection to merger
・Vote against marger
・Make written demand that corporation purchase stock at apparised price.

――CPA3受験対策Ⅳ(2005年3月12日発行) 第5章株式会社(corporation) 5-49よりーー

a)~f)、と、されると、「うっ」と思いますが、ポイントはb, d, f、ですね。

b) 会社経営が責務である取締役会。ここで、経営戦略の一つとして「合併」の道を選択することを決定する。( それぞれの会社で)

d) 株主に経営を任されている取締役(会)だが、こんな大きな話は、取締役だけで決めちゃだめなので、株主にもお伺いをたてて、承認してもらう。(それぞれの会社で)

f) とはいえ、被吸収会社の株主の中には、投資判断として、「吸収されたら、損やんけ!」と考える人はいる。その人たちへの最低限の救済策として、「じゃ、今お持ちの株式を、時価で買い取ってあげますよ」ということになる。

f) のシチュエーションはつまり、今までもっていたB社の株式が、A社に吸収されたからということで、突然A社の株式に変わるということです。投資先が合併するってそういうことですよね。A社の株式になってラッキーという人もいるかもしれません。でも、そう思わない人もいるでしょう。合併時によく話題に上る株式交換比率もそうですね。同じ額面の株なのに、もし、A社株:B社株=1:100で交換されたりしたら嫌ですよね。あと、実は今でこそ買収攻勢をかけてイケイケのA社だけど、なんか先行き不安、ということも感じるかもしれません。
ということで、合併を止めるほどの大多数を占めることのできなかった少数派にも、投資家保護の観点から、「じゃ、今お持ちの株式を、時価で買い取ってあげますよ」というremedyが必要になります。

*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***

で、日本で、来年5月から何が変わるかというと、消滅会社の株主に交付される財産が、従来までは存続会社の株式のみだったのですが、これが、現金や、親会社の株式など多様化されるということらしいです。

なかでも、現金のみを交付する方法をCash-out margerと呼びます。従来の手法だと、合併前の存続会社と、合併後の存続新会社を比べた場合で、株主構成がかわってくる(消滅会社の株主が加わる)わけですが、Cash-out margerであれば、存続新会社の株主構成は、合併前の存続会社の株主構成と変わらないわけです。消滅会社の株主にしたら、手切れ金をもらって、さようなら、という感じでしょうか。

また、最近、財界がアラームを発信しているのが、合併の対価に親会社の株式を交付する三角合併。問題視されているのは、外国企業の日本子会社が、日本の企業を買収するケースです。

上記で見たように、今、仮に、B社の株をもっていて、このB社がA社に吸収合併されたとき、普通は、(B社が、もう、無くなるので)保有していたB社の株式がA社の株式と交換されてしまい、今後はA社の株主となるわけです。売りたいときにマーケットでA社の株を売る事もできます。・・・が、これが、三角合併だと、A社のアメリカの親会社C社の株を受け取る事になってしまいます? おおー、いままで普通に東証1部上場企業の株を日経新聞のマーケット欄みて一喜一憂していた俺も、ついに、ニューヨーク株式市場に投資家デビューだ! などと言っている場合ではありません。時差もあり、ルールも税制も違う外国の会社の株式をいきなり渡されるなんて、大変ですよね。
以上が投資家保護的な観点から問題視されている点です。

もう1つは、海外の企業に吸収合併されやすくなってしまう事を懸念する、経営者側のホンネの部分です。アメリカの企業の中には時価総額の大きな大企業が沢山あります。こうした企業の日本の子会社が、親会社の株式を対価に吸収合併をしかけやすくなるのでは、という警戒論です。

いずれにしても、合併なので、冒頭のCPA試験の問題でも見たとおり、取締役会や株主総会での承認を得る必要があるわけですから、単に三角合併が解禁になったからといって、外資が日本企業を買いあさる、ということが出来るというわけではありません。

しかし、これまでの外資系ファンドの動きに見られたような、TOB攻勢の末、大株主に躍り出て、directorを沢山派遣したり、大株主として幅を利かせだすと、とどめに三角合併というカードがあることは、大きな意味があるといえます。

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仕事をする中で、お客様の合併案件に事務上対応することは何度もありましたが、上記のような、一段と大きな枠組みで考える事は(そういう部署ではなかったことも確かですが)その当時はできませんでした。 昨今メディアが伝えるような時代の流れに少しずつついていけるようになったのも、CPA試験で企業合併についていろいろなアングルで学んだからです。こうして学んだことも、大変重宝しておりますので、折に触れて、今日のように復習したいと思います。 それでは、また。
by nn_77 | 2006-12-02 15:29 | >BEC